小敷谷の塀工事についての全員協議会
両者の主張は食い違い、「談合」の疑いも

こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。

7月30日、「小敷谷地内フェンスブロック擁壁撤去・新設工事に係わる不適切な対応について」全員協議会が開かれました。

 

7月30日 全員協議会室にて

今回は全体を2つのパートに分け

 ①市側からの説明(のち質疑)
 ②小林議員からの説明(のち質疑)

という構成で実施されました。

「元市長が所有する土地のブロック塀を市費で撤去・新設していた」とされるこの問題。
まずは市側が改めて経緯を説明。
執行部から今回の概要をまとめた資料配布と口頭説明が行われたのち、現在調査中の項目については9月定例会で報告を行う旨が 再度述べられました

市は 小林議員が道路課に本件を持ち込んだ日付について「9月3日と説明していたが、どうもこの日ではないのではないかということで、詳細に調査をしている」と説明。
また、配布資料により提示された情報のうち新たなものとして、

・ブロック塀はそもそも「昭和50年代前半の道路拡幅で 民地と官地の境界に法面が生じたため、付帯工事としてブロック擁壁を市で施工したものと推定」とし、その根拠として「土地登記簿謄本によると昭和52年2月15日に分筆、買収」と記載(採納ではなく買収)

・7分割された各工事の一覧と、ブロックの状態の解説

・市側で「上尾市ブロック設置問題に係る調査委員会」の設置を行った旨と、その規程・構成メンバー等(委員長は総務部次長、副委員長は総務部課長、委員は行政経営部次長ほか)を記載。
弁護士にはこの委員会の調査報告書監修を依頼し、委員会にも出席してもらい助言を受けている

・7月19日に新井元市長の代理弁護人が工事費用相当額693万3600円を現金で持参し、市は「工事費用相当額返還金」として受領した

以上が説明されました。

その後 質疑の時間となり、市は施工の決定については「当時の都市整備部長や小林氏ら4名で決めたらしい」と明かしつつも、意思決定の詳細部分等は「9月をめどに報告書をまとめたい」との答弁が多い状況でした。
各議員から出た質疑としては、

問「本来1本の工事を7本に分割した判断は、誰が、いつ、どんな手順で行ったか」
—答「当時の道路課長が分割発注を決めた。その後、当時の部長や次長に了解をとっているときいている」

問「7本それぞれ見積もりは取っていたのか」
—答「発注業者含め3社ずつ取っている(=全21本の見積書がある)」

問「地権者からの相当額返還を受領した経緯について説明を」
—答「7月10日に代理人弁護士から通知書が届いた。『本件改修工事に関する問題の早期解決のため』との事で 7月19日に持参する旨が書かれており、市は対応した。
市側からの返還要求はしていない」
問「返還金受領の意思決定の詳細は」
—答「幹部職員(特に今回設置した調査委員会メンバー)を中心に協議し、市長・副市長・弁護士にも相談。
『地権者の支払い意思に対して受け取らない事はないでしょう』との弁護士意見もふまえ、返還金が民法703条の不当利益の返還金に該当するとの見解に基づき受領を決定した」

問「市長はそもそも知っていたのではないか。どんな会合で地権者と小林氏に会ったか。なぜ、市費での負担はできないとしっかり返事をしなかったのか」
—答「ちょっとわかりませんとして話し合いを終えている。資料記載のように 民地へのブロック塀の施工に公費負担はできないと認識していたので、それは難しいですよという話はずっとしていた

問「市長はどのように責任を取るのか」
—答「報告書をまとめた段階で私なりの判断をしていきたい。知っていたのではないかと。知るわけが無いですよ。それだけです」

といった質疑答弁が展開され、私からは主に3点を質問。

問「調査委員会の構成員が次長級となっているが、重要案件ゆえ部長級で対応すべきでは?弁護士の助言はここではあったのか」
—答「9月定例会をめどに報告する予定でありスピーディに調査を進めるため、即戦力のある幹部職員で構成した。弁護士の助言はこの件では受けていない」

問「発端の議員一般質問での答弁では『美創への発注にあたり分割した』と『都市整備部では早い段階(美創で決定する前)から随意契約を想定していた』との答弁の整合性が不可解だが、これでは美創云々の前に7分割が決まっていたかのようにも捉えられるので詳細説明を」
—答「ヒアリングできている範囲では、『早い段階で市側で施工する事は決まっていた。ただ、競争入札のような形で表立った形が難しいという事で、随意契約にしていきたい。すると分割せざるを得ない、という判断があった』と聞いている。(工事の金額が130万円を超えると随意契約の基準を超えて一般競争入札になるため)」

問「こういった本来1本で出すべき工事を随意契約や工事検査の基準以下に分割して出した例が、過去市で行われているか」
—答「特定業者に受注させることを目的とした分割というのは、現段階では把握していない」
問「調査の予定はないのか」
—答「総務部契約検査課が分割発注に関する実態調査を実施しており、その結果を待っている」

この次長級で構成されている調査体制については、他議員から「スピーディさを優先といっても、報告期限を9月に設定しているのは市側ではないか」といった指摘もあり、調査行為に第三者性がきちんと担保されているのか疑問が浮かびました。

また、7本の工事業者決定時の相見積もりについて質問が及んだ際には、

「見積書は美創建業の方が全てお持ちになった」との答弁が。

そして一部議員からは「市長は責任をとって減給すべき」との発言がありました。
ご指摘内容は当然であると思いますが、減俸だけで済む問題かどうかはこれから明らかになる事と思います。

 

続いては小林氏からの主張。

・市職員とともに現地調査には行ったが あくまでも議員の要望活動の一環として同席した


・働きかけを行った事は一切無い。市の負担で出来るのではないかと問いかけたが、強要はなく疑問を呈した。その際、都市整備部長は工事をするとは返答しなかった

・道路課職員の言葉遣いについて問題があったので、新井家に謝罪に行ったが、その際も部長は検討するとしか答えていない

・7分割の経緯については私は知らない

と説明。
道路課長への「おまえのところでやれといわれたのでうちでやる」との電話内容についても「一切そんな発言はしていない。」と述べており、市側と小林氏とで主張に大きく食い違いが出ています。

あわせて、小林氏は、自ら市に本件に関する資料を請求したところ 一切提出されなかったと述べ、弁護士に依頼し 上尾市公開条例に基づいて資料請求したところ、全てではないが資料が提出されたと述べました。
請求したものとして述べたものは以下です。

①本件工事に関わる面談議事録及び電話録音書等、新井弘治氏と上尾市のやりとりがわかる一切の文書

②施工前の本件ブロック塀を上尾市が調査したが その結果を記載した資料

③本件各工事発注にあたっての各社に対する見積もり依頼書及び各社が提出した見積書

④市が本件各工事を発注する際に作成した起案書

⑤6月20日の井上議員一般質問に対する答弁の基礎となった資料

このうち①と②は存在していないから公開できない、⑤はまだ手元にきていないとの事。

驚くべきは、質疑において 上記の相見積もり持ち込みの件について言及された際

「市側から、美創建業が取りまとめて提出をして下さいとのお願いをされている。
業者から見積もりをもらい、了解をもらい美創建業で金額を入れて提出している。
ずっとその慣習で随意契約の見積もりを提出してきた」
との旨を発言。

これが事実であれば官主導の談合疑惑の可能性までが浮上する、大変な事態となってきました。

 

9月の報告結果を待たなければならないとする答弁もあり、両者の見解の食い違いが多く見られた全員協議会。
この結果を受け、強い調査権を持つ「百条委員会」設置を求める要求が他会派から出されており、8月9日に臨時議会が招集される運びとなりました。