令和4年度スタート
予算委員会での 総括質疑
こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。
春の議会では、市の当初予算(年間計画)を審議・可決。
成立した予算に従って 新年度の市の業務がスタートしています。
新年度予算の概要
令和4年度は、感染予防・経済対策と共に「コロナ禍 一定の収束可能性」も見据えた計画が必要です。
上尾市の新年度予算の方向性は、
・R3年度の編成方針である「コロナ禍の臨時財政運営方針(※)」からの脱却を図る
(※・・・税収減の予測に伴い 一部事業の削除・見送りをする予算編成)
・R3年度は 予算化自体しなかった 市内各種イベントも 予算化しておく
等、市政運営を「危機対応モード」から「通常モード」に移行する計画として提案されました。
上尾市 令和4年度 当初予算書 (全体)[上尾市ウェブサイト]
予算委員会での審査の様子
会派として、予算案 (一般会計 歳入歳出 約696億円) に対し 総括質疑(※)を行いました。
(※・・・部局ごとの詳細質疑と別に「市長等に運営の全体的方向性や、部局横断的な質疑」を行うもの)
総括質疑での主な視点
・臨時財政モードだったR3年度の検証をふまえた編成方針と、コロナ禍を経た市内経済刺激策を質疑
・コロナ禍が2年経過する中でこれまでの施策の検証を問い、「臨時交付金等で補助する業種や対象者の選定に偏りが出ている可能性」を指摘。国からの交付金の残枠(約6000万円)等を使用して新年度に追加の補助事業等を行う場合、困窮者把握の方法の改善や、部署を横断した情報交換を要請
・コロナ対応で得たノウハウを当該感染症のみに留める事なく、市による感染症一般への対応力強化に結びつけるよう要請
・ワクチン優先接種業種について、上尾市によるエッセンシャルワーカーの定義が狭いとの声が寄せられるため、県の基準を参考に拡大するよう要請し、市は対応する方向性を回答
・市長会等にて、現場に最も近い市の要望を 市長から適切に届けるよう要請
・医療従事者への国・県による補助制度等も情報提供する等、市から医師会への協力体制強化を要望
・「自宅療養者が出すゴミからの感染」予防のため、廃棄物処理業者組合等へのサポートを要望
・感染症対策課の負担軽減のため、全庁的な応援体制構築を適宜行うよう要請
・DX推進の外部アドバイザー専任にあたり、公務員の服務規定の対象外となる可能性から、所属する企業による入札制限をはじめ、公正性の担保等を契約段階で盛り込むよう要請
・将来影響を鑑み、市長選直近に公約化した施策について認識を質疑
・国土強靭化地域計画に無電柱化等を一括整備するよう提案
・学校ICT化やいじめ対策の強化を要望
・学校施設更新計画と公共施設全体のマネジメントの連動性を指摘
・ゼロカーボン施策の具体化を要請
感染症・気候変動・行政のデジタル化・活力ある地方作り・少子化対策等、時代は転換点にあります。
「地域こそが主体的に取り組まなくては 実現は困難である」という認識のもと、チェックと提案を実施しました。
感染症対策のため 広さのある本会議場を使用
今回の予算委員会では委員長を務めさせて頂きました
決算提言 ➡︎ 予算編成 のサイクルについて
議会は「予算全体を一括審議する『予算特別委員会』制度」導入から3年目となり、過年度の決算審査結果を 新年度の予算審査に活かすサイクルも 一定の形となってきました。
今回も決算をふまえた議会からの提言を いかに新年度予算編成に反映したか について 市側が議会に説明したのち、審査がスタート。
自治体の会計は 年度が終了する3/31の後 整理期間を経て5/31までに締まる仕組みとなっており、一般的に 議会は、新年度中の秋ごろ(上尾市議会は9月定例会中)に 前年度の決算審査を行います。
上尾市では、R3年9月議会で「コロナ影響を通年で受けた初の年度である R2年度」の決算審査を行いましたが、ここで「実質収支(※)」が過去最大規模になった事が わかりました。
(※・・・歳入結果 - 歳出結果 の金額のズレのこと。当初の予測との大きなズレが生じた事を意味します)
つまり、R2・3年度(※)ともに「税収減により歳入(年間事業の原資)が大きく減る予測を立て 一部事業を削減する計画での運営」を行なっていましたが、結果的には「年度当初に予測した程の税収減とならなかったため 余剰金が多く発生した」状況となりました。
(※・・・R2年度は 当初予算審査中にコロナ禍が直撃したが、その場では予算の組み替えは行われなかった。しかし年度内に不要事業の圧縮を行い、一部事業を停止・先送りする運営とした。
R3年度は 最初から「コロナ影響による税収減」を予測し 一部事業を見送った予算編成だった。)
これを見て「事業削減は不要だったか」と言えば 結果論の部分も大きく、コロナ影響が正確に予測しづらい時期に 市が歳入予測を厳しく見積もった判断自体は、危機管理上 誤りではないと思います。
しかしR2年度決算での余剰金については、決算委員会(R3年9月)の際に私から「年度当初の予測と実際の収入がズレた場合、余剰金を年度内に明らかに(=補正(※))しておかないと 次年度の予算編成時の財源化に間に合わない」点について指摘。
(※・・・年度内に適切に補正しないと 次の年 秋頃の決算時に はじめて余剰金が可視化されるため)
この提言を受け、今回は「庁内で 早期の補正計上等が伝達された」事もあり、R3年度の最終補正で多額の補正が上がり、新年度の編成時点での財源確保に繋がったとの事でした。
結果、早期に「通常モード」へ復旧する一助となり、我々がこれまで指摘してきた「市の財政調整基金(緊急用の貯金)が 市自身が設定している積立基準を数年、下回っている問題」についても、基準値まで積立てが行われ 基準をクリアした形となっています。
「決算委員会を経て市に提言を出す➡︎新年度予算編成で反映される」というサイクルは、今任期から導入した仕組みですが、これが有効に機能したと見る事もできます。
予算執行にあたり 今後のポイント
新年度予算では 会派や市民要望が反映された一方で、市長選前に急遽公約化された施策等は今後、執行にあたって注視が必要です。
また、昨年 市が行った「ゼロカーボン宣言」に関する ロードマップや具体的施策の提示は実質的には 未だ無く、新年度を通じて 策定業務が予定されている状況です。
ゼロカーボンの目標をふまえれば、早期の全体像提示や 市内全域への周知・推進体制づくりが求められます。
DX推進についても、全国的な潮流の中、目的と手段が逆転することのないよう、上尾市として最適なデザインについて「市民福祉の増進に如何に寄与するか」の視点でのチェックが必要であると考えます。
市長選前に急遽見直しが表明された「学校施設更新計画」は 新年度に再策定業務が実施される事となり、我々が求めてきた「偏りのない市民からの意見聴取」が実施される旨 示されてはおりますが、この適正な実行とともに、公共施設全体の総面積や財政面での持続可能性についても、改めて検証が必要になると考えます。
コロナ対応は勿論のこと、感染症の話題に隠れがちな 本市特有の諸課題に対応すべく、新年度もチェックと提案に努めてまいります。