予算修正後の動き。
4月臨時議会で図書館「緊急補修部分」は可決。
こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。
平成31年(令和元年)度 予算案は、「PAPA借り上げ」関連部分(約3.8億円)が議会により減額修正となったうえで、削除部分以外の予算は可決されました。
これに沿って新年度の市政運営がスタートしています。
予算案の段階で「PAPAを借りる」根拠の1つとして市が主張していた「図書館本館に危険箇所があるため改修設計が必要で その間の代替地としてPAPA借り上げが必要」という説明については
「本館改修が必要だが その規模は設計するまでわからない」
にも関わらず、
→「改修中は『必ず』全面閉館しなければならない」
→「閉館中には『必ず』代替地が必要」
→「代替地はPAPA」
という内容・・・つまり「市民の安心安全のためには本館改修が必要」で「これを行うにはPAPAを借りなければならない」という理屈でしたが、危険箇所の緊急性については数的根拠が提示されず「市民の安心安全のため」という説明に終始したため、「PAPAの約2000㎡借り上げ話が上がった経緯が不明瞭」な状況と合わせて考えると、議会として承認し難い内容でした。
(図書館問題と似た構図になりかけている)
市いわく「ガラスブロックやエレベーターの安全確保が必要」との事でしたが、緊急性があるならば 時間をかけて改修「設計」を行うのではなく、修繕費等で危険箇所に即対応すべきです。(設計に時間がかかる為に 代替地が必要となっている)
もし「危険箇所ついでに本館全体を改修しよう」という発想ならば、まず順序として、図書館問題の見直しを受けて 図書館サービス全体をきちんと再構築してから実施すべき事です。
上平の建設計画が見直しとなった根本原因は「22万都市にふさわしい図書館」について明確なビジョンが不足していた事にあると思います。
未だそのビジョン構築は出来ておらず、これをせずに現本館を改修した場合、再び全体計画に変更が生じた場合に改修費が重複する可能性もありますし、本館の「老朽化対策・バリアフリー化」を検討すべきなのは確かですが、その実行をする場合には順序として
1、図書館計画全体の再構築
2、現本館を今後どうするかを明確化
3、その計画に沿った規模での本館改修
という段取りで考えるのが普通です。
一度立ち止まって、かつての図書館計画に欠けていたプロセスを経てから次に進むべきであると思います。
もし安全性に問題があり「緊急対応が必要な箇所」があるなら、その部分のみを早急に補修すべきと指摘しました。
なお、これらが争点となっていた3月議会の最中、実際に本館に行ったところ
・ガラスブロック前の座席は満席で利用者が読書中
・エレベーターも問題なく使用できる状態
という状況だったため、市が安全確保の緊急性を訴えながら 危険箇所の注意喚起を全く行っていない状況に非常な違和感と疑問を感じましたが、「緊急対応が必要と判断するなら、注意喚起の上で その箇所のみ直ちに補正予算を組み補修すべき」との旨、指摘をしておきました。
こうして、3月議会での市予算案から、PAPA借り上げに関連する「図書館本館改修設計費」は削除されたわけです。
・・・そして、この3月議会の後。
図書館本館には それまで無かった「ガラスブロック落下の注意喚起」の貼紙が大量に貼られ始めました。
指摘後 貼られ始めた危険喚起の張紙
内部もガラス部分に大量の貼紙
そして4月9日には、臨時議会が開会。
もともと「風疹の抗体検査及び予防接種実施」「国の補助金を活用しプレミアム付商品券を発行」等の予算追加のため臨時議会の招集は予定されていましたが、ここに加わる形で「図書館本館のガラスブロック落下防止工事」を含む補正予算案が議会に提出されました。
以下、審査過程の一部をご紹介いたします。
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市「図書館施設管理事業(860万8,000円)は、地震時、落下が懸念される図書館本館のガラスブロック壁について、安心安全確保の観点から、落下防止など応急的工事を実施するもの」
問「今回の応急的工事は、3月に予定されていた改修工事と差異があるか。手戻りは発生しないか。
今回の工事によりどの程度の期間安全性が保たれるのか」
市「3月定例会で審議いただいた改修計画は 建設当初の機能回復を図る工事。
今回の改修は 応急処置としてのガラスブロック等の非構造部材の落下や倒壊を防止する工事。
今後、現図書館本館全体における改修工事においては、落下や倒壊の危険性のある非構造部材を撤去する工事を行う必要があると考えていますが、内容としては、修正削除された予算案で前提としていた工事内容と同様となるものです。
今回の工事により当面の安全性は確保されるものと考えております」
問「今回の応急工事をしなかった場合、どの程度の地震規模で危険が生じると考えているか」
市「ガラスブロック等に対しては、地震に対する明確な構造指標がないことから、具体的に倒壊する地震の規模を推測することは困難。
大規模な地震以外でも落下の可能性は否定できないことから、ガラスブロックが倒壊しても利用者に対する落下事故を防止するため工事を行うものです」
問「耐震診断結果の資料を提出いただいたが、今回補正計上することを裏付ける説明を。
この5年間応急対策を講じなかった理由は何なのか。
現本館はこの先も本館のままで位置付けるという理解でいいか。
今後の改修についての検討状況は」
市「既存建築物耐震診断性能判定表のうち、総括の中にガラスブロック壁に関する記載がございます。
5年間応急対策を実施しなかった理由ですが、現本館は、見直し前の新図書館複合施設整備事業が完了し本館が移転した後、平成32年リニューアル改修を行う計画としておりましたことから、その際ガラスブロック改修を行う予定でした。
現本館の位置付けについては平成30年6月議会での市長答弁の通り、図書館本館は当面そのままということです。
今後の改修検討状況は、公共施設マネジメントの中で検討してまいります。」
問「今回の工事で取り急ぎの応急的な修繕は完了したと考えていいか」
市「応急的という意味ではそのとおりです」
問「工事の概要について。
また、図書館本館以外に同種の危険箇所を把握されているか。」
市「地震等によるガラスブロックの落下防止や転倒抑制のため、屋外に落下防止柵、屋内に格子などを設置するもの。
同様に落下の危険性のある古い構造でつくられたガラスブロックを使用しているケースはないため、同種の危険箇所はないものと認識しております」
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この4月臨時議会で市から提出された補正予算案は、3月の予算修正案提出の際に出た指摘が概ね反映されており、いわば「緊急補修部分のみに計上しなおされた 工事費用」となりました。
なお、改修計画の変更に伴い、工事中の図書館休館期間については 3月時点で市が予定していた「2年半」から「10日間程度」に変更となったそうです。
この補正予算案については、質疑・討論ののち、新政クラブ・公明党・政策フォーラムの各出席議員が賛成し 21名の賛成をもって可決という結果に。
市の動向については、今後も政局に捉われず注視してまいります。