予算特別委員会の新設に向けて

こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。

議会改革特別委員会では

❶政治倫理規定
❷予算・決算特別委員会の設置
❸タブレット端末の導入
❹陳情者からの要望

 

が議題となっており、一昨日のブログでは❶について述べました。
引き続き内容をご説明します。(少し専門的です…)

 

 

❷予算・決算特別委員会の設置


現在、予算審査を行う特別委員会新設を検討中(決算は設置済み)です。
何のために設置するかというと

 

<目的1>「分割付託」問題の解消
議会が審査する各議案(予算案・条例案・請願など)は、性質によって4つの常任委員会(議員はどれか1つに所属)に振り分け審査されます。
普通は議案を1つずつ各常任委員会へ付託しますが、様々な事業の元となる予算案は、1議案としてカウントしつつも中身を分割し、それぞれの常任委員会が所管事業の部分を審査しています。

しかし、行政実例(=所轄省庁の見解)において「予算は不可分であって、委員会としての最終的審査は一つの委員会において行うべく、二以上の委員会で分割審査すべきものではない」との指摘が出ています。
要するに、分割する事は違法との見解です。

この行政実例自体はかなり古い(昭和29年 山口県議会議員宛 自治庁回答)ものですが、実際の運用においても、

 ・委員会ごとに採決結果が異なった場合の対応方法が不明
 ・委員会では予算の修正案が提出できない

といった問題が存在しています。

この「予算の分割付託」、違法性が問われながらも長年多くの自治体が採用してきたものですが、最近では、別枠で専門の委員会を設置し、予算はそちらで審査・採決するスタイルが増えています(これなら分割せず審査が可能)
「慣例的に続けてきたのだからこのままでも問題ないだろう」という議員もいるようですが、私自身の考えとしては、条例制定などの立法的性質を担うのが議会ですから、法的問題が問われる手法を長く続けるべきではないと思います。

 

<目的2>議会の審査能力の強化
実質的にはこちらのメリットが大きいと言えます。
予算は「歳入」「歳出」で構成されます。現在、歳出(=税金の使い道)は各常任委員会がそれぞれ審査していますが、歳入(=財源)は総務常任委員会だけが扱っています。

税収が右肩上がりの時代と違い、事業の優先順位をつけるべき現代では、全議員が歳入歳出の感覚に敏感になる必要があります。
予算委員会を別途新設し、議員の半数を予算委員会、半数を決算委員会に配置する事で、議会の審査・提案能力の向上に加え、決算で見えた市政の改善案を次の予算に反映するサイクルも確立できます。
他市の導入状況と人口・予算を比較しても、上尾市の規模(人口20万人以上)では、予算を専門的に審査する委員会は必要だと思います。

 

事務局参考資料「予算決算審査サイクル」(可児市議会から引用)

 

これらの目的から、平成31年3月議会での委員会設置に向け協議を進めてきましたが、
シミュレーションした結果、課題が生じてきました。

日程について市当局から

・「県補助金決定を待って予算書を作成する都合により、前倒しは困難」
・「3月議会の議決後、新年度までに締結する契約があるため、後ろ倒しも困難」

と回答が来たためです。

これを前提とした場合、現在の日程のまま予算特別委員会を組み込まなくてはいけません。
「議案調査日は必要」との事務局の意向もあり、圧縮案として「代表質問制の導入(=一般質問の制限)」といった案も出ましたが、当然反対意見が出て合意には至らず、平成31年の導入は見送りという結果に。(私自身は「一日あたりの質問人数を増やす」方法も提案しましたが)

1/15の議事は「更にその次の年度の導入に向け、何をすべきか」でしたが、最も避けるべきは議論が振り出しに戻ってしまう事です。(過去そういった事例もあったようです)

「一旦棚上げ」という流れにもなりかけましたが、私から「予算委員会は議会の機能強化のため設置すべき。スケジュールの前後拡大が不可能という前提なら、選択肢は限られるので明確にリスト化し、市議会改選期を跨いだとしても、次の委員会が即動き出せる体制まで持っていく」事を提案。
これが採用され、次回委員会以降は論点の整理を行います。