県内各市町議員仲間での研修
古川参議院議員からCOVID-19について講演

こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。

県内各自治体の保守系議員仲間で定期的に開催している勉強会。
先日、感染防止策を講じたうえ「新型コロナに関する研修会」を行いました。

 

県内各市町の自治体議員による「埼玉 青志会」

 

今回は 自由民主党 参議院議員 古川 俊治 先生をお招きし、医師・弁護士・政治家としての知見から貴重なお話を伺いました。
先生は4月頃から毎日、医学界の8大誌に載る論文チェックを行っているとの事で、エビデンスに基づく改めての現状認識について ご教授いただきました。

 

「久しぶりに研究者目線で情報収集する日々」との事です

 

コロナ禍の長期化をふまえ、感染予防意識の引き締めが求められます。
講演をふまえ、注意すべき点を これまでの確認も含めて記載致します。
(以下8月上旬の論文・講演に基づく情報です)

 

 

 

 

・COVID-19 感染力の特徴
 
一般的に、「重症化する」ウイルスは感染者が動き回れないためあまり流行らず、軽症の方が蔓延し易い(風邪・インフルエンザ等)。
今回のCONID-19が厄介なのは「重症度・感染力が共に脅威となるバランス」である事。
 
 

・無症状者からの感染 

感染力は発症する前の方が強い
感染者から2次感染者への感染の約44%は、無症状の期間に起こっている。(Xi He, et.al., Nat Med.26,672-5,May2020)
潜伏期(感染しているが症状がない)は「4日程度」が多い
 
 
 
・エアロゾル感染

「飛沫感染ではありえない距離での感染」がエビデンスとして存在するため、エアロゾル(空気中に漂う微細な粒子)感染の可能性がある。
空気中で調べるとウイルス検出もされる(「感染する事実」までは明確化されていない)。
感染防止には換気が重要となる。

 
 
・生活環境におけるウイルスの残存
 
エアロゾル状態で3時間、段ボールの上で36時間、プラスチックやステンレス表面では72時間の残存が認められた(ただしここからの感染性までは不明)。

 
 
・「再生産数」について
 
「1人の感染者が何人に感染させるか」という概念
「基本再生産数」=全員が未感染状態かつ政府が何も介入しない自然状態について、COVID-19は 約2.5 と算出されている。
対して重要なのが「実行再生算数」=政策をとった場合の数値のこと。
これを1.0以下でキープできれば いずれ感染が消えていくので、収束に向けては1.0以下に抑えていく事が重要。
東京は8月上旬現在1.3〜1.4くらい。
現在、基本再生算数2.5を下回っている理由は マスク着用やソーシャルディスタンシング等の効果。
緊急事態宣言下では0.5くらいまで下がっていたとの見解もある(0.5以下に抑えるには、80%の接触削減が必要)。
経済活動再開の状況では、「感染する可能性ある人口×接触率」の積を抑える考え方が重要となる。
 
 
 
・PCR検査について
 
「陽性なのにウイルス排出量が少ない人」「医療従事者による献体採取方法のゆらぎ」により検査に限界はある(100%の検査はありえない)
偽陰性が発生すると感染防御がおろそかになる危険があるため、検査自体の限界の周知は重要。
 
 

・COVID-19と血液型 

世界各国でのエビデンスがある。
イタリアとスペインの7病院で行われた調査で、血液型に特異的な解析では、
血液型A型は他の血液型に対してリスクが高い(1.45倍)
O型は他の血液型に比べて防御的であった(0.65倍)
ニューヨークでの検査結果と血液型の解析では、
A型はCOVID-19陽性となるリスクが高く(1.338倍)
O型は低かった(0.804倍)
中国の研究ではA型は他の血液型に対して高いリスク(1.21倍)があり、
O型はリスクが低かった(0.67倍)
(The Severe COVID-19 GWAS Group.N Engl J Med June 17(online),2020.)
(M.Zietz,et.al.medRxiv:https://doi.org/10/1101/2020.04.08.220058073)
(J.Zhao,et.al.medRxiv thhps://doi.org/10.1101/2020.03.11.20031096)
 
 
 
 
・犬・猫の感染
 
猫から猫には容易に感染する事が確認されている。
人→猫の感染、人→犬の感染は確認。
犬→犬、猫→人、犬→猫は現時点では不明。
犬・猫→人の感染事例は確認されていないが、これが起こると厄介。
猫の間で風土病として残ってしまう危険がある。
 
 
 
・「ACE2レセプター」と「Spikeタンパク」

コロナは人間の臓器の「ACE2レセプター(血圧調節に関係する酵素)」に付くため、ACE2を持つ臓器(上気道・鼻・肺・腸)に影響が出る。
ウイルスの構造のうち「spike」という突起部位が、ACE2に取り付く。
今 製造を試みているあらゆるワクチンは、この「spike」部分を狙うもので、「spikeがACE2に着くのをやめさせる」事が基本的考え方。
世界が競争してこれを作っている状況。

 
 
・モノクローナル抗体療法 
 
期待されている手法。
回復した患者の血液から強い中和活性(ウイルスを感染させなくなる抗体)を持つ細胞の遺伝子を取り出し人工的に増やす。
この人口抗体療法が治療法としては一番早く、年内には出てくるのではないかと有望視されている。
(A.Baum et al.Science 2020;science.abd0831)
 
 
 
・ワクチンについて

無症状者の40%、有症状者の12.19%が早期に抗体が無くなっている(なお インフルエンザでは約1年持続。おたふく・はしかは一生持続)。
COVID-19については3ヶ月ほどで無くなっている(ただし再感染した場合の立ち上がりは早い可能性あり)。

3ヶ月で抗体がなくなるため、ワクチンも非常に作りにくい。

 
 
・WITHコロナは序盤戦
 
ワクチン製品化まではまだ時間がかかる。
野球でいえば「現在 3回裏」くらいの認識
でいるべき。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
8月19日には日本感染症学会において「今、日本は第2波のまっただ中にいる。この先、どう推移するのか注意が必要だ」との見解が示されたとの報道がありました。
厚生労働省は「第1波や第2波の定義をしていないのでコメントできない。現在の感染状況を評価することについては重要だと考えている」としていますが、いずれにしても コロナ長期化の中で、再度 感染防止意識の引き締めをすべき状況です。
 
感染症封じ込めには、それぞれの生活環境・地域社会において「実行再生算数」の抑え込みが必要です。
事態の早期収束のため、市民の皆様にも 感染対策の再徹底をお願い申し上げます。

これより各自治体議会で9月定例会が幕を開けます。
エビデンスに基づく感染対策を徹底し自分たちの罹患を防ぐのは勿論のこと、これまでの施策を振り返りながら 自治体間連携を深めて政策の共有に努めてまいります。